夏の日差しが木漏れ日となって、足元に落ちる。

「紋瀬とは、気が合わんかな」

八助が遠くを見たまま、ぽつりと言った。

「えっ…いや。彼は無口で余り話したりするのが好きではないみたいだから」

余計なことは話かけない方がいいと、秋文は遠慮しているのだ。

「昔はああではなかったのだが…」

「…」

「あの子が笑わなくなったのには、原因があるんじゃよ」

「……それはもしかして、ご両親を幼い時に亡くしたことが原因では?」

「なぜそう思われる」

八助は顎鬚を撫でながら、興味深げに聞き返してくる。


「何となく…ただ、過去の暗い影のようなものを背負っているような感じがしたので」


秋文は紋瀬の姿を思い浮かべながら、素直に感じたままの印象を述べた。

彼の瞳は暗く冷たい。

あれは高校生の持つ色ではない。

何かを嫌悪し、何かを諦めてしまったような、早熟な大人の雰囲気を漂わせている。

また、どこか鏡を作ることに魅入られているようにも感じた。

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