「なぁ町田」


「なっ、なに?」



さっきからやたらこっち見てると思ってたけど、気づかないフリをしてた。


イケメンに無言で見つめられてるなんて緊張するし、かといって話しかけられてもないのに振り向くなんて出来ない。


小野くんと目が合うと妙に緊張するからキライだ。


なのに話しかけられてしまっては振り向かずにはいられない。


無視するわけにもいかないし……目線を合わせず顔だけ向けて返事をしてみた。


ーーそしたらそれはそれで失礼だったらしい。



「町田、人と話すときは目を見て話せって親に言われなかったのかよ」



あらー、やっぱり不機嫌モードな小野くん。



「ほら、あたしちょっと人見知りなところあるから」


「じゃあそれを直すように努力しろ」



なにそれ、命令!?



「そうだね、うん。今度頑張ってみる」


「今度って、だから何でそう後ろ向きなんだよ。今してみろよ」


「えーえっと……そうだあたし部活の先輩に呼ばれてたんだった!」



ここは逃げるが勝ち。


あたしは勢いよく立ち上がり、そのまま席を後にしようとした。


だけどーー。