「え……!?」



「国境付近にいるマリが知らせてくれた。まだ両国の王都には伝わっていないけど、時間の問題だね」



 マリというのはアルの女だ。

アルの仲間の数人は今、ラグの頼みでルドリア探しのためにシュタイン・ルイーネ中に散らばっている。マリもその一人だった。



「暴動って、……両国の王都に伝わっていないってことは、正規軍同士の衝突ではないんだな?」



「うん。一般の民衆が争っている。原因はルドリアだ」



 やはりそうか、と、エルマは唇を噛んだ。



 ルドリアが偽物だという事実を、両国の国民はそれぞれ隣国が敵となる方向にとらえてしまったのだ。



つまり、シュタインの民は偽ルドリアの刺客説を信じ、おそらくルイーネの民はシュタイン王家がルドリアをどうにかしてしまったと信じた。