灼熱の太陽とアスファルトは、私の肌をじりじりと、ひっきりなしに焦がす。
でもね、そのじりじりより、この疾走感の方が、私には危機感を与える。
「ちょ………!法廷速度!法廷速度!」
「ごちゃごちゃ煩いですねぇ、貴方はこれでもお口に入れておきなさいよ。」
左隣で軽快にハンドルを回す山入端は、右手で私に何かを押し付ける。
「ぐむ…!甘いけどパッサパサ!水!水ぅぅぅ!」
「だから煩いと言ってるでしょうが。全く、何なのよ。こんなにそそらない女を寄越すとは、東京の本校はクズですね。」
山入端はオープンカー、しかも完全外車を法廷速度無視で飛ばす。いや、カッコイイんだけど毒舌!無駄にエロボイスで!
バッグからミルクティーを取り出し、甘い何かの正体を探るべく山入端の右手を見ると、『ち○こすこう』というパッケージ。
………え?ちんすこうは知ってるけど、ち○こすこうって、ネタ?
「なにこのち○こすこうって!ち○こすこうにする意味!」
「ユーモアですよ、土産屋に売ってありましてね。だいたい、仮に顔がジュラシックパークでも、女がち○こちん○言うのは止したらどうなの?」
オイ山入端ァァ!伏せ字の場所!意味ねぇからなそれ!しかも顔がジュラシックパークってなんだよ!
化粧は確かに濃いけど、ンなにブスでもないわ!
まるで海に浮かんでいるみたいに敷かれた幻想的とも言える道路にも、こいつのせいで感動出来やしない。
だいたい、高校生の癖に外車とか運転する!?ってか、免許………え、免許は?



