「しんけん、うじらーさん。」



その顔があまりにも王子様みたいで、何かもう、雅治の背景がピンクのキラキラに見えてくる。



あーかっこよすぎ、王子様、私をどこかに連れてって、みたいな。ぐふふ。



「折角澪が見れる顔にしてくれたのに、貴方、そんな気色の悪い顔止めなさいよ。」



雅治にニヤニヤしていた私に対し、消ゴムをおもっくそ全力でぶつける永太。



この鬼畜!イテーよ!デコに穴が開くかと思ったわ!



「何だよ……朝は、甘い声で私の頭にチューまでしたくせに。」



「ぬーがしや!まーみ?しぐに拭いてやる!永太ぬ鬼畜菌が繁殖する前に!」



私の呟きに、バビュン、と駆け寄ってきた雅治は、自分が着ていたサマーニットの袖口で、私の頭をグリグリと拭き始める。



その光景に、永太が鬼畜の笑みを浮かべて、眼鏡を逆行でキラリ、と光らせる。