「で…出来た!」
作業すること30分。塩壺に作った塩を詰め込んで、手作りの塩が完成。
「うりー、わんも出来ちゃ。」
お揃いの塩壺に塩を入れた澪ちゃんも、満足そうに私の顔の前に突き出す。
「澪ちゃんの味見させて!」
「しむんど。」
私は目の前にある澪ちゃんの塩壺を取ろうと手を伸ばす。
だけど、澪ちゃんはそれを自分の方へ引っ込め、蓋を開ける。
「み、澪ちゃん?」
そして、人差し指をズボっと壺の中に差し込むと、塩の着いた指を私に差し出した。
「えっと…舐めろと?」
「悠莉が味見しちゃいってあびったんだしよみ?」
さも当たり前って感じに首を傾げる澪ちゃん。何この羞恥プレイ。
おじいちゃんも別の観光客の方に行ってて、周りには人がいない。
誰も人が見てないのを確認して、私は澪ちゃんの人差し指を、パクっと口で挟んだ。
スーパーで買う塩より、優しくて、しょっぱい塩の味。
「悠莉や、でーじうじらーさんね。」
この、見た目はクールなのに、中身は天然なイケメンに、私は振り回されっぱなしだ。



