澪ちゃんは手際よく私のポーチを漁り、まずは、日焼け止めを兼ねたBBクリームを顔に塗り広げる。



多分、自分で持ってきたのだろうパフも上手く使いながらやってくれるから、とても心地が良い。



「澪ちゃん、手慣れてるね。」



「わん、演劇部ぬーが。部員ぬメイクも担当しててね。」



そうなんだ。確かに、声も大きかったし、背もあって顔もハッキリしていてイケメンだから、舞台映えしそう。



「やーはみーがキツいぬを気んかいしはるんだばぁ?」



澪ちゃんが自分の目尻を引っ張り尋ねるから『みー』が『目』であることを認識する。



「あ…うん。気にしてる。だからアゲハ系のメイクの方が隠れるから、ギャルやってんだけどね。」



その私の返事に穏やかに頷いた澪ちゃんは、スローな動きで持参したメイク道具のシャドウパレットを開く。



「みー元を和らげるんなら、黒より茶色。」



そして、澪ちゃんはブラウンとピンクを中心に私にアイメイクを施し始めた。