【完】イケメン*眼鏡*ランデヴー

しばらく走ったところで、永太は手を離し立ち止まった。



「ビックリしたぁ。東京来てるなんて聞いてないし、良くここが分かったね?」



ゼェゼェ、と白い息を吐きながら永太に問いかけると、永太の方は余裕そうな表情で振り返る。



「驚かそうと思って秘密にしていました。場所は、自分が昨日電話でペラペラ喋ったでしょう?」



「あ………そうでした。」



やっぱり永太には敵わない。どこまでも一枚上手で、私をいつでも驚かせてくれる。



「大体、何俺のいないところで他の男に口説かれてるわけ?」



「あれ?永太さん、妬きもちですか?」



永太に妬きもちを妬いて貰えることが小さな幸せの私は、思わずニヤニヤしながら顔を窺う。



すると、永太の方は余裕がないのか眉間に皺を深く寄せ、顔の下半分は掌で覆い隠している。



付き合い始めてから、私は永太をこうやって困らせることも出来るようになった。



その、たまに見せる切羽詰まった顔も愛しくて堪らない。