「もしもしー!」



《もしもし。悠莉、貴方はこんな時間でも元気ですね。》



電話越しの永太の声は、相変わらずエロボイスで、夜空に溶け込んでしまいそうな程にしっとりとしている。



「えへへー、ほら、今日は言ってたでしょ、友達と天体観測。」



《嗚呼…そうでしたね、どうですか?星空は綺麗ですか?》



永太が私が前言ったことに対して『そうでしたね』なんて切り返すのは珍しい。記憶力良いから、忘れること少ないのに。



「良く見えるよ。でも、んー、やっぱり沖縄の方が綺麗かもなー。」



ぼんやり空を見ながら呟くと、永太がふふふ、と受話器越しに笑う。



「っていうか、こんな時間に珍しいね。どしたの?」



かけてくれるのは嬉しいけど、推薦入試を無事に合格した永太は、夜もバイトをしていてお金を貯めてるし、夜中は疲れて寝ていることが多い。



だから、こんな時間に電話をくれるなんて、何か用があるか、ハプニングが起こったのか、そう思ってしまう。