本島と離島を繋ぐ海上の道路を経て、永太が連れて来たのは浜比嘉島。



「さあ、こちらですよ。」



オープンカーから降りて、まるで紳士が淑女をリードするように私の手を取り歩き出す永太。



「永太ってさ、女の子の扱い、慣れてるよね。」



私は前々から思っていたことを永太に伝える。



澪ちゃんはゴーイングマイウェイだから、私に対しても自由に絡んでくるし、雅治は一生懸命に接してくる。



それに比べて、永太は基本は糞な位鬼畜だけど、ここぞという時は余裕で、優しい。



そんな永太の切れ長の目が、沈黙のまま私を見つめていたが、次の瞬間、はあ、と溜め息をつかれる。



「な……何さその溜め息。」



「貴方は何も分かってない。俺がどれだけ水面下で必死こいてることか。特に、彼等を敵に回して、余裕でいられるわけないでしょ。」



それが何となくなんだけど、永太も私のことを好いてくれていると肯定しているようで、思わず俯いてしまう。



「……そういうリアクションは次に困るから、止してよ。」



あー…やっぱりこいつの甘々モードには全く慣れない。逆に言えば、鬼畜モードにすっかり慣れたという残念な事実が明白になったということなんだけどね。