勝連城の見学を済ませて今日の学習は終わり、再び永太の車に乗り込む。
「悠莉、この後予定はありますか?」
「あはは!あるわけないじゃん。私こっちに友達永太達しかいないもん。」
左側でハンドルを握る永太が『それもそうですね』と鼻で笑う。
…なんか友達少ない人みたいで嫌だな。でも、仕方無いよね、これ、仕方無いよね!?
「それなら…今日これからの、貴方の時間を俺にくれますか?」
スーパーエロボイスで囁かれたその甘い一言に、一瞬にして心臓がばくばくと動き出す
落ち着け私、ここは余裕な女でいなければこいつの思うつぼだ。
「永太、それってさ…デートのお誘い?」
いつも翻弄されっぱなしの私が、金髪と赤のグラデのロングヘアーを耳にかけて余裕の反応を見せつければ、永太の出鼻をくじける。
なんて思っていたが、甘かった。自分も、そして、次の永太のリアクションも。
「そうなりますね。言っときますが、俺がデートに誘ういなぐなんて、貴方くらいなものですよ。感謝しなさいよ。」
甘々モードと鬼畜モードが混濁する永太なんて初めてなもんだから、次の一手なんか考えてる訳もない。
「貴方は俺だけに翻弄されてれば良いよ。」
………くそくそ、何だこれ、ズルいったらありゃしない。



