長いような、それでいてあっという間のエイサーも、最後の一曲が流れ始める。



それは、私が初めて沖縄に来た日に歓迎会で永太が歌ってくれた『唐船ドーイ』という曲で。



広場中に指笛と太鼓、掛け声が飛び交い、エイサーのチームじゃないお祭りの参加者も各々に楽しく躍り回る。



勿論私達もそうで、まるでライブハウスでぐいぐい押されるかのように、もみくちゃに動き回る。



エイサーを踊っていたチームの人達も、それぞれに広場に散り、永太も、真っ直ぐにこちらへ走ってくる。



その、普段じゃ絶対見れない無邪気な、顔をくしゃくしゃにして笑う顔に、私も心が踊る。



相変わらずだけど無表情で、でも柔らかな顔をした澪ちゃんに、夜の空の下を照らすような満天の笑みの雅治。



激しい、体力のない私にとっては息もするのが辛いような夜だけど、今だけなら、いくらでも笑って動けるような気がした。