「だから、うち寄ってく?」



ケーキ焼くから連れて来いってうるせーから、と腕を頭の後ろで交差させながら歩いてる。



あっ、また離れた。





「沙耶?」


「あっごめん」


「お前ほんと大丈夫か〜?」


一歩分離れた距離にいた彼は腕を伸ばす。



コツッ

「いたっ」


伸ばされた腕は真っ直ぐ私の額を小突いた。



「ほら、早くいくぞー?」



再び歩き出した彼に置いてかれないように、少し大股で歩いた。