《瑚堂学園 校門付近》



「さてと」



瑚堂学園の敷地に一歩入ったゴトウ。そこからはもう、ゴトウのテリトリーである場所で。



「"何か、いるな"」



校庭からは活気溢れる運動部の掛け声が、校舎からは吹奏楽部が演奏する楽器の音が響いている場所で。



「ま、すぐに出てってくれるとありがたいんだけどなぁ」



彼は校舎を見上げながら独りごちる。



「てか、何なんだろうな、全くよ」



口許には和やかな笑みが浮かぶが、しかし目は一切笑っていない。



「厄介なことになりそうだ」



学園の化身――座敷童子は最後に一言、忌々しげに呟いた。