「何かご――ッ」
少年の言葉を遮り、裕晶は蹴りを突き込む。それを紙一重でかわされ、舌打ちが漏れる。
さらに打撃を続けようとする裕晶だが、少年の行動で一度動きを止める。
踊り場から跳躍し、階段を使わず一階に降り立つ少年。実際にやるとしたらそうとう勇気ある行為に息をのむ。だが、逃げるつもりならば――。
上から少年を見据える裕晶だが、そこでまた動きを止める。今度は驚きではく、警戒。
裕晶が少年を蹴り飛ばした際に、少年は手にしていたセカンドバッグと札を落としている。だから今の少年は何も持っておらず、バッグから札を取り出すことは出来ない。
だからといって、少年が何も出来ないとは考えられない。彼の行動は裕晶の想定する範囲を遥かに越えることが出来る。迂闊に動けないのが実情だ。


