高村はすごい切な気な顔で言ってきた。 本当は、誰を好きになったっていいでしょとか 私の勝手でしょとか言いたい事はたくさんあったのに 「……っ。」 言葉が詰まってしまう。 だってあんな顔、するから そんな表情で私の髪を優しく握ってくるから。 見ていられなくなって、パっと目を逸らすと 「早く貸せよ。」 彼は元の表情に戻って、私からパンを奪いとった。 「遅せぇんだよ。 今度から3分で買ってこい」 やっぱりあれは、勘違いだ。