ポキンッ、もっもっもっもっ、ごくん


「樹さん、それなんですか?」


花の妖精の桜の姫であるサクラが樹の肩に乗ったままうたた寝すること三十分。

ふわふわと動くたびに薄い桜色の羽が揺れるも、彼女自身が落ちることはなく見事なもの。

そんなところを手慣れてどうするといったところではあるが。


そんなサクラが目を覚ますと、樹が何やら茶色いものでコーティングされた細長いものを口にしている。


(なんだかわかりませんが甘い香りがして美味しそうです……っ!)


目をキラキラとさせ、わかりやすく物欲しそうにしている。


妖精というものは何の妖精であっても甘いものに目がなかったり、そんなことがなかったりするらしい。