ポケットダーリン


店に流れる音楽が変わり、色とりどりの照明が駆け巡る。

全ホストがあたしの席に集まり、隣には叶人。

愛しい人が戻ってきた。


マイクを向けられたシャンパンコルクは、ポンッと軽快な音を立てて抜かれる。


賑やかなシャンパンコールの間中、叶人が見えないように、こっそり手を繋いでくれた。

自然に顔が綻ぶ。

 

「やっぱお前だけだわ。ありがとな」

シャンパンコールが終わって、集まっていたホストが各々の席に散った後、叶人がそう言って、くしゃくしゃと髪を撫でながらおでこにキスを落としてくれた。

「うん。…ねぇ、」

「じゃあ俺、また戻るわ」

「え…?」


奪い返したはずの王子様は、また、あの魔女の元へと帰っていく。

どうして…?ねぇ、

あたしだけを愛してよ。