持田が私をちゃんと想ってくれてることなんて分かってる。 そんなの、分かりきってる。 「…私を助けたのだって莉子さんへの罪滅ぼしなんじゃないの?」 こんなこと欠片も思ってない。 だけど、無理なの。 真っ直ぐぶつかられると逃げたくなる。 「芽依ちゃん……っ」 弱々しい声に、傷だらけの顔。 いつもと違う見慣れない漆黒の髪。 そんな持田が私の心を酷く揺さぶる。 ……お願いだから、そんな声で私を呼ばないで。 「…帰るね……私」