口を開いた私の声を掻き消すように保健室のドアが開いて 私を呼ぶ二人の声が聞こえた。 「千春……市原くん」 タイミングが良いのか、悪いのか。 だけどベッドの横で椅子に座る壁が舌打ちをしたから、悪いのだろう。 まあ、確かに話しにくくなってしまった。 「階段から落ちたって聞いて慌てて来たんだよ!」 駆け寄ってきて、座る壁を押し退けて千春が言う。 うっすらと涙が浮かんだ瞳が、どれだけ心配させてしまったのかが分かって 胸が痛い。