尾関は、我が子がはじめて言葉を発した母親のようなはしゃぎぶりだ。 「おまえに言ったんじゃねぇぞ」 そのはしゃぎっぷりにますます腹が立って、俺はつい尾関に言葉を投げかけてしまう。 当然それは、墓穴を掘ったわけで。 「おまえって……。なんだか夫婦みたい」 尾関はうっとりしたような顔で俺をじっと見つめる。 こいつも忙しいヤツだ。 「なぁんだ、やっぱ付き合ってんだろ?」 「だから、違うっつってんだろ?」 「もう、笠原くんたらー」 まじで、うぜぇ……。