佐和ちゃんは、和泉くんも昔とは違うんだし私を拒否した時のままじゃないかもしれないとは言うけれど。

高校の時拒絶された印象が強すぎて、慎重になってしまう。
もう拒まれたくないから、近づくのをためらってしまう。

だから、できるなら今のまま当たり障りなく過ごせればと思うけど……自分が気持ちを隠し通せるかが大きな課題で。

隠し通せないなら、絶対に和泉くんは私なんて想っていないって佐和ちゃんに言ってもらって、膨れ上がってる気持ちや期待をどうにか押さえ込んで潰そうとしたのに、それもしてもらえなくて。

最後の砦が崩れた思いで、テーブルの上に頭をつけて打ちひしがれる。
これからどうすればいいのかを考えると、このままめり込んでどこまでも沈んでいきそうだ。

「絶対に和泉くん気づくと思う……。私隠せないもん。隠してるつもりでも出てるもん、いつも……」
「まぁ、だろうね。莉子は恋愛感情に限らずすべての事において隠し事できないから」
「じゃあダメじゃない! 気持ちバレて気まずくなって終わりじゃない!」
「なんで? 気持ちバレて実は両思いかもしれないでしょ」
「だから、和泉くんは私の事なんて……っ」

顔を上げてそう言いかけて、もういいと会話を終了させた。