「あのね、私の事、なんでも壊すデストロイヤーだとでも思ってない?
私は、莉子のためにならない風船しか割ってないからね」
「……それはそうかもしれないけど」
「今まで割ってきたのは、ダメ男へのわずかな期待のこもった、持っててもむしろ莉子を巻き添えに沈んでいくような風船だったでしょ」

でも今回のは違いそうだから、と微笑んだ佐和ちゃんが続ける。

「和泉の事を好きって気持ちの詰まった風船を割るなんて私にはできないし、割ったところですぐ再生しちゃうと思うけど違う?」
「それは……一緒に住んでる限りそうかもしれないけど」
「莉子は和泉に迷惑かけないようにって必死なんだろうけど、もっと自分勝手に動いてもいいんだと思うよ。
一緒に住ませてもらってるとか、色々事情もあるのは分かるけど、好きになるのは悪い事じゃないもん。
こっそり想ってるくらい、何の問題もないよ」
「でも……私、そういうのすぐ態度にも言葉にも出ちゃうし、和泉くんだって気づくんじゃないかなって思うし」

勝手に想ってるだけならいい。
だけど私の場合、すぐ気持ちが顔にも態度にもあからさまに出てしまうから。

せっかく一緒に住ませてもらってるのに、気持ちがバレて気まずい思いさせて迷惑かけるのは困る。