行き先が、駅方面じゃないのと、私がいつも使っているスーパーじゃないのは確かだった。
いつもは通らない道だから、東西南北どこに向かっているのか分からない。

「隣の市に新しくショッピングモールができたから、そこ。
専門店が入ってる何階建てかのモールと同じ敷地内に、大規模なスーパーとか映画館とか色々あるらしいから」
「あ、知ってる! 今月に入ってから毎週末広告で入ってきてるところでしょ?」
「わざわざ行ったところで、まだ混んでるかもしれないけど」
「土曜日だもんね……。
でも行ってみたいと思ってたから嬉しい」

しかも、和泉くんと買い物だなんて本当にデートみたいだ。
そう思ってひとりでにやにやしてこっそりはしゃいでいると、隣からの視線に気づく。

前を見れば、信号は赤で車は止まっていて。
隣を見れば……こっそりにやついていた私を見たからか、真顔の和泉くんがいて。

気持ち悪いヤツだと思われたかもしれない。
ひとりでにやにやしてたりしたんだから、絶対にひかれてる……。

だけど、そんな不安に襲われている私をよそに、和泉くんはふっと微笑んだ。