――もしかしたら。本当にもしかしたらだけど。
無償で部屋を貸したりしたら私が気を使うから、それでお手伝いさんを言い出してくれたのかもしれない。

居心地を悪くさせて追い出そうなんていうのとは正反対に、居心地をよくさせるために。

だけど、和泉くんがそこまでしてくれる理由なんてないから、きっと私の都合のいい解釈でお得意の勘違いなんだろうけど。

今度佐和ちゃんに話してこの暴走中の勘違いを思いきりツッコんでもらわなくちゃ。
和泉くんとふたりきりだと誰も私の勘違いを否定してくれないから、行動まで暴走しそうで困る。

「元カレの浮気相手って、どんな女?」

洗い物をしている私の横で、使ったドレッシングなんかを冷蔵庫に戻しながら和泉くんが聞く。

「えっと……少し派手目な人。
くるくるの巻き髪でメイクもばっちりで、ブランドバックとかよく持ってた。
合コンとかも毎週末のように行ってるって噂を聞いた事があるけど……」

なんでそんな事を聞くのか聞いたけど、和泉くんは何かを考え込むように黙ってから別にとだけ答えた。

納得できなくてその後も何度か聞き続けたけど、和泉くんが無視するから結局理由は聞けないまま、その話題は強制終了されてしまって。