和泉くんの言うようにオシャレなバーだとしたら、取引先とかの接待でも社内の飲み会でもないだろうし、一体何のためにそんな所に飲みに行くんだろう。

その前に、なんで予定を伸ばしてまでわざわざ飲み会の入ってる日を指定するんだろ。
早くして欲しいなら明日とか言えばいい話だし、来週まででいいなら家にいる日を指定してくれれば、わざわざ鍵を取りに行かなくてもすむのに。

訳が分からない。

「一度行っただけだけど、あまりカジュアルな格好で飲みにきてるやつはいなかった」
「えー、でもカジュアルな格好じゃないと荷物運びに邪魔だしなぁ。
鍵もらうのなんて一瞬だし、恥ずかしいの我慢するしかないかー……。
でもなんでそんなしゃれた所で飲むんだろ。別れてから趣味変わったのかな」

ぶつぶつ言いながら食器をシンクに運んでいると、和泉くんが自分の分を持ってきてくれる。
毎日のように、私が運ぶしそれが私の仕事だからって言ってるのに、このご主人様はちっともそれに従ってくれる様子はない。

もしかしたら私の仕事を取るっていう嫌がらせでやっていて、居心地悪く思わせようって魂胆なんじゃないか。
そうも考えたりしたけど、和泉くんはただ単に出来る限りの自分の事は自分でやるって主義らしい。

でもだとしたら私って本当に不要だと思うのだけど。