だって、お手伝いさんや家政婦だったら、体調悪いからってご主人様に仕事を代わってもらったりしない。
家賃として家事をするって決まりなんだから、和泉くんは私の仕事を一度でも代わったりしちゃダメだったんだと思う。
その時点でもう、ご主人様とお手伝いさんって関係がおかしくなってたんだ。

だから……こんな風に優しくされるたびに、勘違い女の私は過度な期待をして苦しくなっちゃうんだ。
ご主人様とお手伝いさんって関係以上を夢見ちゃうんだ。

和泉くんと私の恋路は、もう五年も前から断絶されているのを分かっているのに。

そんな事を考えながら、和泉くんも和泉くんでいくら私を一度振ってるからって優しくするとかどうなの、なんて八つ当たりみたいに文句を頭の中に並べていた時。
携帯が今度はメールを知らせた。

確認すると、元カレからで。

「和泉くん、明日、やっぱり朝作れる。
荷物取りにくるの来週金曜の夜に変更して欲しいって。
もうっ、来週とかなにそれ。自分で早く来いとか行ったくせに」

ちょうど食べ終わった和泉くんが、スプーンを置きながらわずかに顔をしかめる。