「荷物なら今週中にとりに行くから」
開口一番、挨拶もなしにそんな事を言った私も私だけど。
返ってきた言葉に、今の失礼な対応で間違えてなかった事を悟る。
『なんだよ。分かってんなら早く来いよ。邪魔なんだよいつまでも』
「……追い出しておいてよく言えるね」
あまりの言いぐさに思わず本音が口をついた。
だってあんまりだ。
あそこは元々私の部屋で、ある家具だってほとんどが私が買いそろえたモノなのに。
「とにかく、近いうちに行くからそれでいいでしょ」
ぐつぐつと煮えかえりそうなイラつきをぐっと抑えてそれだけ言うと、元カレは催促してきたくせに、明日ぁ?と難色を示した。
まさか今日この後来いとか言い出すんじゃと顔をしかめていると、そういうわけではなく、どうやら明日予定があるって事だったらしい。
『おまえ、鍵持ってないよな』
「持ってないよ。急に追い出されたんだから」
『じゃあ荷物取りにくる時間、俺家にいなきゃじゃん』
「なんで? 荷物外に出しておくって言ってなかった?」
『出そうと思ったけど結構あるから面倒でやめたから。
朝一でうち来て鍵受け取ってくんない? で、荷物運び終わったら鍵かけてポスト入れといて』



