一緒に暮らしたりすればこうなる事くらい、どうして最初に気づかなかったんだろうと今更ながら思う。
もっとも、気付いたところで、部屋のない私は同じ選択肢を選んでいたんだろうから仕方ないのだけど。

和泉くんを毎朝いってらっしゃいって送って、おかえりなさいって出迎えて。
ご飯を一緒に食べてその上優しくされたりしたらどうなるかくらい、小学生にでも分かるくらい簡単な問題だ。

そんな、恋人ごっこみたいな事を、昔好きだった人としたりしたら……。
もう一度恋に堕ちてしまうのなんて必然だ。

そしてそれを、頭のいい和泉くんが考えなかったとも思えないから、彼も分かっていたんだと思う。
私が恋してしまうかもしれない事を。

その上で、一度振っている過去を理由に、私がその気持ちを自分に打ち明ける事はないだろうと判断して、提案したんだ。
和泉くんにとっては、言葉にしなければ私の気持ちなんてないも同じだろうから。

もちろん、私だってこんなお世話になってる身で気持ちを伝えようだなんて考えない。

親切でここまでしてもらってる和泉くんを困らせようとは思わないし、振られた過去だって鮮明に覚えてるから、気持ちを伝えようだなんて思わないけれど。