「自分は男の生活費負担してたくせに、俺の金遣いについては説教か」
「だって、付き合ってたんだから多少そういうお金の事についてもルーズになるでしょ?
でも、和泉くんと私は和泉くんの好意でこうして同居させてもらってるだけの関係だから……」

ああ、和泉くんのシワが増えていく……。
どの発言が悪かったのかは分からなかったけど、和泉くんの眉間に寄ったシワを減らそうと、慌てて納得してくれるような理由を探す。

「それに、ここに置いてもらえてるだけですごく助かってるし感謝してるのに、それ以上よくなんてしてもらったら罰があたるから!」

思わずごめんなさいと謝りそうになる気持ちをぐっと抑えながら見ていると、和泉くんはそんな私を見た後、ふぅんと呟いて食事を再開した。
その様子に胸をなで下ろしてから、私も箸を持ち直す。

それから、和泉くんのシワが消えている事を確認して、料理が口に合っているか聞くと。
和泉くんは目を伏せたまま、合ってると答えた。

不思議な答え方だったけど、おいしいって言葉に出すのが照れくさかったのかなっていうのが予想できておかしくて思わず笑ってしまった。
それを、和泉くんの無言の視線に怒られる。

すぐ謝らないって約束だから……と目を逸らしてボソボソ言うと、和泉くんが呆れたように笑った。