お手伝いさんとか家政婦の仕事の中に、話し相手って項目はないのかな、なんて考えながら食事をしていると、ふと和泉くんの視線に気づく。
顔を上げるとこっちを見ている和泉くんと目が合った。

何か言いたそうな和泉くんに、話し相手を欲してるんじゃと期待を膨らませたけど。

「大野って奢ったり奢られたりするの、嫌なタイプ?」

和泉くんが聞いたのは、ひとつ前の会話の続きだった。
なんだよ私の事なんかどうでもいいよ、と思ってうっかり尖らせてしまった口を戻して答える。

「そんな事ないよ。今日のお昼だって友達に呼び出されてご飯食べてきたけど、友達の奢りだったし。
あまり大きい金額払わせちゃうのは嫌だけど」
「じゃあ元カレと同棲中は食費とか光熱費とかどうしてた?」
「元々私が契約した部屋だったから、光熱費は私の口座から引き落としで、食費は半分出してくれる事もあればない時もあったり……」
「つまり、ほとんど大野が出してたって事?」

濁そうと思ったのにすかさずツッコまれて、まぁと歯切れ悪く返事をする。
また怒られるかもと、チラっと見ると、和泉くんは想像通り眉間にわずかにシワを寄せていて。