「おもしろそう?」
「今までと違った毎日になりそうで、おもしろそうだったから」
「……今までの日常を変えたかったって事?」

やっぱり何か不満があるのかもしれない。
あんなに柔らかかった表情がカチコチに固まって笑顔をなくしちゃうくらいの何かが。

そんな風に思って聞いた私を和泉くんはじっと見た後、バカバカしそうにため息をついた。

「おもしろそうだったからって言っただろ。他意もなければ真意を隠してるわけでもない。深読みするな」

別に深読みしたわけじゃないし、さっきの言葉を普通に捉えたら私が言ったような疑問が出てくると思うのだけど。
そう言われてしまうとそれ以上聞けなくて、諦めて黙る。

昔の和泉くんみたいに、もう少しオープンだったらもっと色々話せるのに。
自分の気持ちしか考えてなかったあの頃とは私も違うし、あの頃の事を後悔もしているから、できる事なら何でも聞きたいと思ってるのに。

だけどそれは和泉くんから話したいとか思ってくれない限りは、結局昔と同じで自分の気持ちを押し付けているだけになるから、黙るしかなかった。

誰でもいいから話してスッキリしたいとか思ってくれたらいいのに。
そうしたら私は、どんなにつまらない話でも延々と続く長い話でも、聞き続けるのに。