冗談かとも考えたけど、じっと見てくる和泉くんの表情には冗談のかけらもなさそうだから私も真面目に答える。

「そうじゃなくて、普通そんなにかからなくない? 五万って多すぎだよ。
お財布入れててドキドキしたもん」
「でも今までそれくらいかかってたし」
「えっ、そうなの?」
「ほぼ外食だったし」

毎日外食にしたって、五万かかるって結構いいお店に通わないと無理だと思う。
一日平均、二千円弱かけてるわけだし、朝が食パンで済ましてたならお昼と夜で1500円ぐらいかけてるって事だ。

お昼、社食とかで五百円で済ませているとして、夜千円かー。
私なんて、コンビニでパンとかおにぎり買う時、100円と120円のどっちにするか毎回結構深刻悩むのに。

それなのに和泉くんは平気で千円使うのか……。
おにぎり全品100円とかでウキウキしちゃう自分を少し哀れに感じてきてしまう。

「とりあえず半分くらいで足りると思うから、残りは貯金にでも回してください……。
冷めちゃうから食べよ」

いただきます!と目の前で手を合わせてお味噌汁に箸をつけると、私につられてか、同じように手を合わせた和泉くんがいただきますと呟くように言う。

そんな姿を嬉しく思っていたのも束の間、返ってきた言葉にそんな儚い幸せは飛んでいく。