早口で言いながら、温め直したりお皿を準備したり。
忙しくキッチンの中を行き来していると、それを見ていた和泉くんが少し笑った気がした。
振り返って確認した時には、もういつも通り無表情だったから私の気のせいかもしれないけど。
「おまたせしました」
まずはサラダだけ出して、他の料理を盛り付けたりしていると、座った和泉くんが私を見て、大野の分は?と聞く。
「え、でも、ドラマとかでお手伝いさんとか家政婦の人って一緒に食べたりしなくない?」
「ドラマ見ないから知らないけど。作ってはあるって事?」
「あ、うん。私の分だけ菓子パンとかで済まそうかとも考えたんだけど、どうせ作るならって思って。
だから食費は割り勘でお願いできると助かるんだけど……」
「別にいいけど」
「本当? ありがとう」
「作ってあるなら一緒に食べれば。その方が自然だろ」
家政婦とかの仕事ってよく分からないから、この場合の何が自然なのかは分からないけど。
私も一緒に食べられた方が嬉しいしと、和泉くんの言葉に甘えさせてもらう事にする。



