サラダやらお味噌汁やら、カレイと野菜の煮物やらを作っているうちにはもう18時近かった。
色々作り終えて、使ったボウルやまな板なんかを洗ってふぅ、と一息ついた時、シンクに飛んだ汚れに気づく。
カレイの煮つけを作ったから、それがいつの間にか飛んじゃったんだ。
和泉くんが絶対に汚すなってオーラを漂わせていた事が頭をよぎって、慌てて布巾で拭いていると玄関のドアが開錠される音が響いた。
帰ってきちゃった!と焦ってはねた汚れを拭いて、他にどこか汚れていないか目を光らせてから急いで玄関に向かうと、こちらに歩いてきていた和泉くんと廊下で鉢合わせになる。
「おかえりなさい。お仕事お疲れ様」
笑顔の私をじっと真顔で見てから、和泉くんは、ああと呟くように答えてリビングに向かう。
その後ろ姿をなんとなく眺めていたら……急に緊張が襲ってきて心拍数が上がってしまった。
ご飯や家事を済ませて帰りを待つ事自体は、昨日までも元カレ相手に同じように毎日繰り返してきた事だったからあまり意識せず家事していたけど。
帰ってきた和泉くんの顔を見た途端、急にドキドキし始めてしまってどうしていいか分からなくなる。



