うん。すごく優しいと思う。
そう繰り返した私に、佐和ちゃんはニっと口角を上げて笑った。
「ふぅん。莉子の気持ちはすっかり和泉に戻ってるってわけね」
「えっ、違うよ。そういう意味じゃなくて……」
「でも好きなんでしょ? 和泉の事話してる時の莉子、そんな感じだもん。
見てれば分かる」
正直、私も和泉くんの事を好きなのかもしれないとは思ってた。
ずっと好きだったのに、今更好きかもしれないなんて不確定な気持ちを抱くのはおかしい気もするけど。
ずっと好きだったのは高校の頃の和泉くんで、今好きかもしれないと思っているのは今の和泉くんだから。
昔とは変わって、無表情で不器用そうで、厳しくてでも優しくて。
目を逸らさずにずっと見つめ返してくれる瞳に、私を映したいって思う。
再会してまだ一日しか経っていないのにこんな気持ちになるのは、昔の恋愛感情も手伝っての事なのかもしれないけど。
淡いぼんやりとした恋心を抱いているのは確かだ。
「で、莉子今どこに住んでるの?」
話題を本題に戻した佐和ちゃんが、答えを聞いて絶句したのは言うまでもない。