「それは莉子の男運の悪さでしょ。っていうか、絶対に莉子の寛大さと健気さが男をダメにしてるんだと思うけど。
ずっと莉子の親友してる身から言わせてもらえば、困らせたくないのは分かるけど、そのままじゃ絶対に幸せになれないよ」

パスタを食べ終えて、フォークを器に置きながら言う佐和ちゃんに思わず笑うと、ムっとして顔をしかめられる。

「ごめん。だって、和泉くんと同じような事言うから。
私、本当にダメなんだなって思い知って笑っちゃっただけ」
「へー。和泉にも言われたの?」
「うん。自己犠牲が過ぎるとか、周りに気を使って我慢して一生生きてくとかバカじゃねーのとか」

佐和ちゃんはぷっと笑いを吹き出してから、楽しそうに言う。

「本当に変わったんだね、和泉。昔のままなら、きっといつか幸せになれるから大丈夫だよ、とかそういうキレイ事で慰めそうなのに」
「うん。でも、なんか……不思議なんだけど、今の和泉くんとの方が一緒にいてしっくりくる気がする。
高校の時も、恋に恋してたわけじゃないし、本気で好きだったんだけど……再会して漠然とだけどそんな風に感じた。
言われる事は事実ばかりで厳しい感じもしちゃうけど、嘘とかがないから安心できるのかも。
それに、突き放すだけじゃなくて、どこか優しいし」