「性格が変わっちゃうほど悩んでるんじゃないかなんて私の勝手な思い込みかもしれないし、もし本当にそうだったとしても和泉くんは私に入り込んで欲しくないんだろうなっていうのは分かってるんだけど……和泉くんの感情のない目を見て、力になりたいって思っちゃった」

「私、高校の時から全然成長できてないのかも」と笑うと、すぐに「なんで?」と返されるから、高校の頃の自分を思い出しながら話す。

「高校の時は、自分の気持ちを考えるだけで精一杯で手紙を押し付けようとしちゃって、今は、助けたいって気持ちを押し付けようとしてるから。
ただ、迷惑になるのが分かってるから何もしていないだけで、思考回路の単純さは変わらないみたい」

和泉くんは私に優しくしてくれた。
手を差し伸べてくれた。

けど、だから恩返しをしたいわけじゃなくて、例え和泉くんが私に優しさのかけらも向けてくれなかったとしても、この気持ちは同じだったと思う。
ひとりぼっちみたいな、感情をどこかに置いてきてしまったような瞳をしている和泉くんを、助けたい。

私なんかがそんな事を思う事自体、図々しいのは分かっているし、望まれていない以上ただの迷惑だって分かるけど。
そう思う気持ちは消せなかった。

ダメだね、と笑うと、佐和ちゃんはにっこりと優しい微笑みでこちらを見た。