「で、今どうしてるの? 実家?」

パスタそっちのけで心配そうに聞いてくる佐和ちゃんに、どう答えようか少し悩む。
事実を言う事で和泉くんに迷惑がかかるんじゃないかと思って。

だけど佐和ちゃんは信頼できるし口も堅いから、口止めしておけば問題ないと判断した。

今まで元カレに散々好き放題されて信頼関係なんてこれっぽっちも築けた事のない私が、信頼なんて言葉を口にするのもおかしいのかもしれないけれど。

でも、六年間一緒にいても、佐和ちゃんは私を裏切った事はないから。

「佐和ちゃん、和泉くんって覚えてる?」
「覚えてるよ。莉子がだらだら片思いしてた和泉でしょ。
手紙書いたのに受け取ってもらえなくて、しばらく凹んでるうちに留学しちゃった外見内面共にパーフェクトに近い和泉」
「そう。和泉くん、こっちに戻ってきてるみたいでね、実は昨日の夜偶然会って」
「え、そうなの? どうだった? 相変わらず甘い顔と雰囲気でハーレム作ってる感じ?」

驚いた後、楽しそうに聞いてくる佐和ちゃんに、苦笑いを浮かべる。

「ちょっと変わったかなぁ。
昔みたいな、ただ黙ってるだけでも溢れてくるような柔らかさはないかも」

和泉くんを思い浮かべながら答える。