「でも……家での居場所を見つけられなかったりしたから、ずっと笑って優しくしてくれた和泉くんに勘違いしちゃったのかも。
包み込んでくれるみたいな和泉くんの優しさに、甘えていたのかもしれない。
手紙を断られてから、和泉くんの困っている顔を見てハっとした」

私の話を、和泉くんは黙って聞いていた。
私をじっと見つめたまま。

そんな和泉くんに、座ったままぺこりと頭を下げた。

「優しくしてくれたからって、勝手に和泉くんの事、私の王子様だなんて勘違いしてた。
あの時はごめんなさい」

下ろしたままの長い髪が、テーブルにかかる。
しばらく頭を下げたままでいると、頭の上から和泉くんの呆れ笑いが聞こえた。

「謝るのが好きだな」

その声に顔を上げると、顔をしかめながら微笑む和泉くんがいて。

「うちにいる間に誰にでも謝りたがる趣味もシンデレラ精神もどうにかしろ」

顔をしかめて微笑む和泉くんが、少し苦しそうに見えたのはなんでだろう。
和泉くんは私に呆れて眉を寄せているだけなのに、それがなぜだかツラそうに見えてしまって。

家主としての和泉くんの指令に頷くのが遅れてしまった。