こんな返事をして、和泉くんが困るんじゃないか。即助かるなんて返事をして引かれてるんじゃないか。
ただの義理で言ってくれた事を真に受けたりして、本当は和泉くんは社交辞令のつもりでそんな気なかったらどうしよう。

そんな心配をしながら顔色を窺うように見つめていると、和泉くんが困り顔で笑った。

「そんな泣きそうな顔で見られる理由が分からないんだけど」
「だって……困らせてたらどうしようって思って」
「困るような事をなんで俺からもちかけるんだよ。俺はおまえと違ってボランティアは趣味じゃない」
「じゃあ、本当にいいの……?」
「いいよ。家事こなしてくれたらそれが家賃でいいから。
その代わり、おまえがソファで我慢できるならだけど」

それはもう全然大丈夫、と首を縦にブンブン振ってから和泉くんを見つめた。

「あの、本当にありがとう。
再会したばっかりなのに変な事に巻き込んでごめんね」
「だからもうそういう……」
「ごめん。でももうひとつだけ謝らせて欲しい事があるの。
和泉くんは忘れてるかもしれないけど……私、和泉くんにずっと謝りたかった事があって……」