昨日から思っていたけど、一人暮らしなのにダイニングテーブルがあるってすごい。

普通の一人暮らしって言えば、ソファがあるって人も半数くらいだと思う。
ベッドとローテーブル置いて、それと棚とか置けばそれでいっぱいになる部屋だってたくさんあると思うのに……。

まぁ、2LDKの広さから言って“普通の一人暮らし”の概念からは離れた方がいいのかもしれないけど、でもすごい。
もうここまでくると異世界だ。

私と一緒な事って言えば、食べているモノくらいだろうか。

和泉くんが、音を立てたトースターからパンを二枚取り出してお皿に乗っける。
そのうちのひとつを私の前に置いてから、自分も向かいの椅子に座った。

「ありがとう。いただきます」

手を合わせてから和泉くんの焼いてくれたパンに苺ジャムを乗せる。
それを食べながら、今日からどうしようかに頭を悩ませていると、和泉くんが話しかける。

「大野って料理できるんだよな。家族の食事作ってたっていうくらいだし」
「うん。できるって言ってもこったモノとかは作れないけど。普通の家庭料理くらいなら。
和泉くんは?」
「しない。シンク汚すのも嫌だし、油汚れとか掃除が面倒そうだから」
「そういえばこの部屋、すごく綺麗だもんね。あれ、潔癖症だったっけ?」

そんな記憶がなかったから驚いて聞くと、和泉くんは少し黙った後、ああと頷いた。