私が入れたコーヒーを飲んでくれることが嬉しくて、分かったって言いながらつい顔がにやけてしまった。
最も、和泉くんの視線はとっくに本に移っていたから、私がどんな顔していようと和泉くんにはバレないけど。

でも、ひとりでにやにやしているのも絶対に怪しいから、万が一こっちを見られても大丈夫なように和泉くんに背中を向けて、お水を入れたケトルをセットした。

それから、マグカップをふたつ用意してそれぞれにインスタントコーヒーを入れて、シュガーを半分ずつ入れて私の方にはミルクも入れる。

沸いたお湯を入れてスプーンでかき混ぜてから、それを持ってリビングに行くと、ソファに半分横になるようにして本を読んでいた和泉くんが身体を起こして本を置いた。

「これ敷けば」

マグカップをテーブルに置いてから床に座ろうとした私に、和泉くんがソファの上にあったクッションを投げる。

「大丈夫だよ。カーペット敷いてあるし。
それに私が座っちゃうとクッションがぺちゃんこになっちゃうから」
「別に普段から使ってないから形状がどうなろうが俺には関係ない」
「……じゃあ。ありがとう」

半ば無理やり押し付けられて、お礼を言いながらクッションの上に座らせてもらう。
そしてコーヒーを一口飲んだところで、ポケットの中で携帯がメール着信を伝えた。

内容を見て、よほど変な顔をしていたのか。
和泉くんが、誰から?と聞く。