「埃っぽいけど野宿よりはいいだろ」
「え……」
「昔使ってたソファが置いてあるから、それベッド代わりに使え。毛布は後で持ってきてやるから」

振り向くと、部屋から出てきた和泉くんが私を見ていた。

「泊まっても……いいの?」

驚いて聞くと、和泉くんは、ああと頷く。
面倒そうにため息をついたところを見ると、少し呆れられてはいるみたいだった。

「泊める場所がなかったら断るけど、一部屋余ってるから」
「……本当にいいの?」
「何度も聞くな」

ぶっきらぼうに言った和泉くんが、リビングの奥の部屋に向かう。
それから、部屋の中から持ってきた毛布を私に押し付けるようにして渡した。

「あ、ありがとう!
本当に、ありがとう……」

安心して涙目になった私を見て、涙腺どうかしてるんじゃないか、と和泉くんが呆れて笑う。
再会してから、初めての笑顔だった。