「これでふたりきりだ」
「……うん。12時の鐘まで時間もあるね」

いつも奏一くんが私の事を自己犠牲精神の強いシンデレラだとか言うから、それにかけて12時って時間を言うと。
すぐに気づいてくれた奏一くんは少し笑って。

「12時過ぎても帰す気はないけど」

そう言って、私の手を握った。
リビングにかかるアンティークの時計から22時の鐘が鳴り出したのを聞きながら、寝室のドアを閉める。


ふたりきりの甘い空間に、鐘の音はもう聞こえなかった。

















「恋踏みラビリンス―シンデレラシンドローム―」
END