現状を頭の中で再確認してからもう一度ついたため息が、下を流れる川に落ちていく。

夜の川って、柳の木関連の怪談とかでよく出てくるから怖いイメージしかなくて、暗くなってから橋を渡るのさえ嫌だったのに。
今だったら何時間でも眺めていられる気さえしてくるから不思議だ。

ずっと眺めていると流れに吸い込まれそうな感覚に陥るけれど、それも怖いとは思わなかった。

今置かれている現状の方が恐ろしくて、幽霊だとか河童の類を怖がっている余裕がなくなっただけなんだろうけど。
もうこの際、河童でもいいから今夜泊めてくれないかとか思っている私は相当弱っているのかもしれない。

何に関しても前向き思考で、早とちりや勘違いにおいて右に出る者はいないと周りから定評のある私が、こんな目に見えてマイナスオーラに包まれているのがいい証拠だ。

神頼みならぬ、妖怪頼みなんてしている人は日本広しと言えど私くらいだ。きっと。
神様だとか河童だとか、絵本の世界じゃないんだから。

絵本と言えば、おとぎ話のお姫様とかも序盤は割とひどい扱いを受けてるけど、今の私だったら張り合えるレベルだなとぼんやり思う。
しかも本の中では、物語の序盤にどんなひどい仕打ちされたってラストには幸せが約束されているんだから、最初の不幸なんてまったくもって問題ない。

私の人生に……この先幸せなんて待ってるんだろうか。