「私ね、ずっと知ってた気がするの。
奏一くんが和泉くんじゃないって」
ソファに並んで座りながら言うと、奏一くんは笑いをもらした。
「よく言うよ。俺の下の名前を聞こうとも思わないほど信じ切ってたくせに」
「確かに途中まではそうだったけど……でも途中からどうでもよくなってたんだと思う。
一緒にいて、和泉くんとは違うところが色々見えたハズなのに、私はそれを気にも止めてなかったの。
それを今日和泉くんと話しながら気づいて、なんでだろうって考えてた」
「俺と孝広には共通する部分の方が少ないだろ。
見た目は昔ほど似てないし、性格だって正反対だし。
だから、なんでおまえが気づかないのか不思議だった」
「え、そんなに不思議だった?」
「ああ。でも、途中から、性格が変わっただとか関係なく全部を受け入れられるほど莉子は孝広が好きなのかって思うようになって……。
最初、わざわざ言うのも面倒だって理由だけで孝広じゃないって告げなかった事を後悔した。
おまえにどんなに好きって聞こえてくるような視線送られても、顔赤くされても……全部孝広に対してのものだって思ったから」
「……私の熱視線に気づいてたの?」



