「さっき、奏一くんがおかえりって言ってくれたのにただいまって言えなかったから、もう一回おかえりって言ってくれたりする?」
奏一くんは、勘弁しろとでも言いたそうに笑ったけれど。
呆れた笑みを浮かべながらも、「おかえり」と言って手を広げてくれて。
嬉しくなりながら、奏一くんの腕の中に飛び込む。
ソファがギシっと軋んだけれど奏一くんが私の体重を受け止めてくれた。
気持ち事、私全部を。
「ただいま」
笑顔で言うと、私を抱き締める奏一くんの腕に力がこもる。
その強さに少し戸惑いながらも、同じくらいの強さで抱き締め返した。
クールで、優しくて、でもちょっと臆病な誰よりも愛しい人を。



