その笑顔と声に、高校一年生の思い出がぴったりと重なって……胸が締め付けられた。
和泉くんの、仕方ないヤツだなって感じの笑顔が大好きだったから。
甘やかされてるみたいで、少しの特別をもらってるみたいに思えて大好きだったから。
あの時の好きだった気持ちが蘇ってきて胸がいっぱいになる。
和泉くんだ……。本当の本当に、和泉くんだ。
今までふわふわしていた気持ちがしっかりと思い出に繋がり、埋もれていた、彼へ片思いしていた記憶を引っ張り出す。
「和泉くん、本当に変わらないね」
そう言うと、和泉くんは笑って。
そんな私たちを見て、佐和ちゃんはお邪魔そうだからと立ち上がる。
頼んだドリンクもまだ来てないって止めたけど、私の言う事なんかを佐和ちゃんが聞き入れてくれるハズもなく。
そのままわざとらしい笑みを残して本当にお店から出て行ってしまった。
残された私に和泉くんが「莉子、時間ある?」と聞いてきて。
返事に迷っている私に、「少し話さないか」と言った。



