「奏一……?」
「あ、うん……。和泉くんの従兄妹だって言ってた」

恐る恐る言うと、和泉くんは「ああ、正真正銘俺の従兄弟だよ」と驚いたような笑顔を見せた。

「和泉くんの、従兄弟……」
「同じ歳で小さい頃から割と一緒に過ごす事が多かったんだ。
へー、懐かしい。あいつ、元気か?」
「……うん。和泉くんより細いけど元気は元気だと思う」
「でも、なんで奏一と住んでるんだ? 俺と間違えてたって言うけど、なんで?」
「あ……えっと」

元カレに追い出されて和泉……奏一くんのご厚意で部屋を借りてる事。
そして、奏一くんは何一つ嘘をついていたわけじゃなくて、私が勝手に和泉孝広だと思っていた事を説明する。
元カレとの事は適当だったけど、奏一くんの事は丁寧に、奏一くんが悪者扱いされないように。

そして説明を終えると、和泉くんは少しした後吹き出して。
「莉子らしい勘違いだな」と笑った。